一本杉通り かわら版
ニュース・イベント | 2009年9月 3日
リュートソング
能登ふるさと博 蔵コンサートin 改観寺を昨夜聴いてきた。
一本杉のイベントではないが、一本杉通りと続きの通りにある改観寺(一本杉町の西端から100mほどさらに西へ行ったところにあるお寺)で行ったコンサートだし、一本杉通りの鳥居醤油店さんがチケット販売していたイベントでもあるので紹介しておく。
出演者は、メゾソプラノの波多野睦美さん、リュート演奏のつのだたかしさんの2人である。
リュートは、中世からルネサンス、バロックの時代にかけてヨーロッパで愛された涙形の撥弦楽器ということもあり、演奏された曲目は16、7世紀のものが殆どだった。
波多野睦美さんが歌う時は、勿論、つのだたかさんのリュートによる伴奏があったが、つのだたかしさんのリュートのソロも何曲かあった。
リュートの伴奏を交えた歌声を目を閉じて聞いていると、イタリアかイギリスのバロック時代にでも迷い込んだかのような古風なものを感じた。波多野さんさんが歌う歌詞自体も、古風な英語もしくはイタリア語だったのかもしれない
プログラムを見るとアンコールも入れて23曲だったが、私がその中で知っていた曲は、「スカボローフェア」(イギリス古謡)、「サリー・ガーデン」(イギリス古謡)、「グリーンスリーブス」(イギリス古謡)、それにアンコールで歌われたのは2曲(「庭の千草」と?(題名度忘れ))。合計5曲のみ。
「スカボローフェア」は中学校の頃、私はサイモン&ガーファンクルで耳にタコができるほど聴いた記憶がある。「サリー・ガーデン」も聴いたことがある。「グリーンスリーブス」は音楽の教科書に載っていたと思う。
ただ同行した仲間に「スカボローフェア」を知っているかと聞いたが、誰も知らなかった。有名な曲だと思ったが、私が洋曲の懐メロのオタクであるだけかもしれない。
「庭の千草」ときくと、私は竹山道雄の「ビルマの竪琴」で思い出す。昔、学生時代読書感想文で中学と高校で2度利用した。映画も新旧2度観ているので、ほぼ全内容を暗記している。
この曲は小説の(勿論映画でも出てくるが)有名な場面で登場する。太平洋戦争でビルマ(今のミャンマー)に展開していた日本軍。主人公水島上等兵が所属する部隊はそんな中の1つであったが、ある夜、ビルマのある村の小屋を借りてキャンプする。部隊の皆は水島上等兵が奏でる竪琴を伴奏に、酒を飲みながら合唱してどんちゃん騒ぎ。そのうち水島らがいる小屋を敵兵のイギリス兵やインド兵(グルカ兵)などが包囲する。
水島らの部隊もそれに気付くが、こちらが気付いたことを敵が悟ればすぐに攻めこまれる可能性が大。気付いたことを知らぬ振りで歌い続け、その間に銃の用意などして応戦の準備をする。
彼らが「庭の千草」を歌いはじめた頃から周囲の森がシーンと静まりかえり、さらに「はにゅうの宿」を彼らが歌いだすと、何と森の方からも「ホーム、ホーム、スイート・スイート・ホーム」と英語の節で歌う声が漏れ聞こえてくる。
不思議だと思いつつも、しばらくすると敵味方無く一緒になって歌いはじめ、敵兵は森の中から出てきて日本人と交わる。偶然歌っていたのが、元々はイギリス古謡で、洋の東西を問わぬ望郷の想いがこうさせたのだろうと著者も解説。その後イギリス軍から話を聞けば、3日前の8月15日に既に停戦していたと知る。
ドラマの前半で出てくるあの有名な場面です。
あそこで使われる楽器はリュートではないが、水島上等兵が自ら作った竪琴です。
それで私は、「庭の千草」は弦楽器に向いた曲なのかな、などと思ったり、またこの小説の話を思い出しながら聴いた次第です。
(同じ蔵コンサートのスパニッシュ・コネクションのコンサートの時には、打ち上げに参加しましたが、今回は参加しませんでした)
知っている曲のことばかり書きましたが、勿論それだけが良かったという訳ではありません。
何か高尚な気分に浸ったというか、文化的なものを味わったようないい気持ちにしてくれた一夜でした。
来年も、いいコンサートが催されることを期待します。